--------------------<ややや>
や(彌)-
yi(斎)-yiつ(斎つ)「yiがき斎垣、yiくし斎串、yiくひ斎杙、yiつき斎槻」
-yiふ(斎ふ)-yiはす(言はす)-yiはさる-yiはされる
-yiはせる-yiはせらる-yiはせられる
-yiはふ(祝はふ)-yiははる-yiははれる「yiはひまつ忌待」
-yiはる(言はる)-yiはれる
-yiむ(斎む)-yiます(斎ます)-yiましむ-yiましめる
-yiまふ(斎まふ)「yiまyiまし(忌々シ)」
-yiまむ(斎まむ)
-yiもふ(斎もふ)
-yiゆ(癒ゆ)-yiやす(癒やす)-yiやさる-yiやされる
-yiyeる(癒yeる)
-yiる(言る)-yiらふ(答らふ)-yiらへる
ゆ(斎)-ゆふ(結ふ)-ゆはく(結はく)〔言ふ〕「ゆひ結、かみゆひ髪結」
-ゆはす(結はす)-ゆはせる
-ゆはふ(結はふ)-ゆははる-ゆははれる
-ふはへる-ゆはへらる-ゆはへられる
-ゆはる(結はる)-ゆはれる
-ゆむ(斎む)-ゆまふ(斎まふ)-ゆまはる
-ゆまむ(斎まむ)
ye(善)-yeる(選る)-yeらふ(選らふ)「yeらし偉シ(選らシ)」
-yeらぶ(選らぶ)-yeらばす-yeらばせる
-yeらばる-yeらばれる
よ(善)-よく(避く)-よきる(避きる)「よこ横、よきぢ/よきみち避道」
-よける(避ける)(”善い”ものをとり分ける)「よこ横」
-よる(選る)-よらす(選らす)-よらせる「よらし(選らシ)/よろし良*宜」
-よろふ(選ろふ)「とりよろふ」
イ接:いゆ(癒ゆ)-いやす(癒やす)-いやさる-いやされる
-いyeる(癒yeる)
ム接:むやふ舫(む+ゆふ結)
モ接:もやふ舫(も+ゆふ結)
「yeる/よる選-yeらぶ」は、何を取ってもいいのではなく、「良いものをとり上げる、とり出す」意となる。それが「yeる/よる」の本意である。よくないものを選ぶ、いい加減なものを選ぶ、は意味をなさない。
「yeる」と「よる」の間にまったく逆の意味の「よく(避く/除く)-よける」が入ってくるのは意味深長である。考えて見れば「yeる」「よる」も「よく」も同じことを言っているであろう。よいものを取り上げるのも、よいものを取り除くのも、それを例えば敵に渡さないという趣旨では同じことになるであろうからである。(nk)縁語の「のける退」と「のこす残」の関係とよく似ている。
--------------------
や( )-やく(焼く)-やかす(焼かす)-やかせる
-やかる(焼かる)-やかれる
-やける(焼ける)
-やす(痩す)-やせる(痩せる)(「やさかむ〔瘦せ衰える〕」の形も)「やせところ磽地」
-やつ(窶つ)-やつす(窶つす)
-やつる(窶つす)-やつれる
-やむ(病む)=ややむ(や病む)「やまし病シ、やみしし病猪、えやみ、さむやみ、わらはやみ童病」
-やまふ(病まふ)
-やもふ(病もふ)
ゆ( )-ゆむ(病む)-ゆまふ(病まふ)「ゆまひ/あたゆまひ急病」
ナ接:なやむ(悩やむ)-なやます-なやまさる-なやまされる「なやまし悩シ」
-なやませる-なやませらる-なやませられる
なゆむ(悩ゆむ)
--------------------
や( )-やす(休す)-やすむ(休すむ)-やすます-やすませる「やす安、やすし(安シ)」
-やすまる
-やすめる
-やすもふ
-やする(休する)-やすらふ
--------------------
や( )-やす(唆す)
ア接:あやす(寝かす子をあやして亭主しかられる)
ソ接:そやす(褒め「そやす」)
ド接:どやす(類語に「どなる」がある)
ハ接:はやす(やんやと「はやす(囃す)」)
これら四語からあれこれ言い立てる意の二拍動詞「やす」の存在を認める。
--------------------
やは(柔は)-やはす(柔はす)
-やはる(柔はる)-やはらぐ
--------------------
や( )-やぶ(破ぶ)-やぶく(破ぶく)-やぶかる-やぶかれる
-やぶける
-やぶる(破ぶる)-やぶれる-〔止む?〕
-やる(破る)
--------------------
や( )-やむ(止む)-やまふ(止まふ)
-やまる(止まる)
-やめす(止めす)-やめさす-やめさせる
-やめる(止める)-やめらる-やめられる
--------------------
や(矢)-やる(矢る)-やらす(矢らす)-やらせる「やり槍、やるかやられるか」
-やらふ(矢らふ)
-やらる(矢らる)-やられる「やれこも破薦、やれま破間*壊」
yi(射) -yiく(射く)-yiくふ(射くふ)「yiくは的;まとyi的射、おひものyi追物射」
-yiゆ(射ゆ)
-yiる(射る)-yiらる(射らる)-yiられる
ゆ(弓)-ゆむ(弓む)「ゆみ弓」
--------------------
や( )-やる(遣る)-やらす(遣らす)-やらせる
-やらふ(遣らふ)
-やらる(遣らる)-やられる
yi(行)-yiく(行く) -yiかす(行かす)-yiかせる
-yiかる(行かる)-yiかれる
-yiける(行ける)
-yiぬ(去ぬ) -yiなす(去なす)-yiなせる
-yiなる(去なる)-yiなれる
し(去)-しす(死す)
-しぬ(死ぬ)-しなす(死なす)-しなせる(y-s相通形)
-しなる(死なる)-しなれる
ゆ(行)-ゆく(行く)-ゆかす(行かす)-ゆかせる
-ゆかる(行かる)-ゆかれる
-ゆける(行ける)
オ接:おゆ(老ゆ)-おyiる(老いる)「おyi老、あひおyi相老」
-およす(老よす)-およすぐ
--------------------yiyiyi
や(揺)-やる(揺る)「やららに」
ゆ(揺)-ゆく(揺く)-ゆかす(揺かす)「ゆき雪」
-ゆぐ(揺ぐ)
-ゆす(揺す)-ゆさふ(揺さふ)-ゆさはる《ゆさゆさ》
-ゆさぶ(揺さぶ)-ゆさぶる-ゆさぶらる
-ゆすぐ(揺すぐ)
-ゆすぶ(揺すぶ)-ゆすぶる
-ゆする(揺する)-ゆすらる-ゆすられる
-ゆつ(揺つ)-ゆたふ(揺たふ)「タ接:たゆたふ」
-ゆふ(揺ふ)
-ゆぶ(揺ぶ)
-ゆむ(揺む)
-ゆる(揺る)-ゆらく(揺らく)-ゆらかす-ゆらかせる「ゆり百合、たまゆら玉響」「ゆるし緩シ」《ゆらゆら》
-ゆらぐ(揺らぐ)
-ゆらす(揺らす)-ゆらさす-ゆらさせる
-ゆらさる-ゆらされる
-ゆらせる
-ゆらゆ(揺らゆ)-ゆらyeる
-ゆらる(揺らる)-ゆられる
-ゆるく(揺るく)
-ゆるぐ(揺るぐ)-ゆるがす-ゆるがせる「yiるがせ/ゆるがせ」
-ゆるす(揺るす)-ゆるさる-ゆるされる〔許す〕
-ゆるふ(揺るふ)-ゆるほす「ゆるほし縦シ」
-ゆるほふ
-ゆるぶ(揺るぶ)
-ゆるむ(揺るむ)-ゆるます-ゆるませる
-ゆるまる
-ゆるめる-ゆるめらる
-ゆれる(揺れる)
よ(揺)-よく(揺く)
-よぐ(揺ぐ)
-よふ(揺ふ) 「いさよふ、ただよふ漂、もごよふ」
-よぶ(揺ぶ)
-よむ(揺む)=よよむ(揺よむ)〔よぼよぼになる〕
-よる(揺る)-よろく(揺ろく)-よろける《よろよろ》「なゐよる田居揺」
-よろふ(揺ろふ)-よろほふ
-よろぶ(揺ろぶ)-よろぼふ(蹌踉)
ア接:あyiぶ(歩ぶ)
あゆく(歩く)-あゆかす
あゆぐ(歩ぐ)-あゆがす
あゆぶ(歩ぶ)
あゆむ(歩む)-あゆます-あゆませる
-あゆまふ
あよく(歩く)
あよぶ(歩ぶ)
あよむ(歩む)
オ接:およく(泳ぐ)
およぐ(泳ぐ)-およがす-およがせる
-およげる
およぶ(及ぶ)-およばす
-およぼす-およぼさる-およぼされる、
カ接:かゆふ(通ふ)
かよふ(通ふ)-かよはす-かよはせる「きかよふ来通」
ク接:くゆる(薫る)-くゆらす-くゆらせる(「くゆらかす」の形も)
サ接:さゆる(揺る)-さゆるぐ
タ接:たゆふ(揺ふ)「たゆたに、たゆたふ、たゆらに/たよらに」
たゆむ(弛む)「たゆし/たゆたし、たゆたふ、たゆたに、たゆらに/たよらに」「倦まずたゆまず」
たよふ(揺ふ)
マ接:まゆふ(迷ふ)
まよふ(迷ふ)-まよはす-まよはせる
まよふ(紕ふ)「まよひく紕来、まよひまじる、たがひまよふ」
サ接:さまよふ(さ+ま+よふ)
モ接:もゆらに
顕宗前紀に「たなそこも”やらら”に」とあるが、この「やらら」について時代別上代編は「手に巻ける玉も”ゆらら”に」(万3243)の「ゆらら」と同様の語で、音がさやかに鳴るさまをいうか、としている。おそらくその通りで、筆者も同意見である。ただ音だけでなく、ゆらゆらと揺れる様子を強調しているであろう。そうとすれば、上記の「ゆる」「よる」と並んで縁語の二拍動詞「やる(揺る)」が存在していることになる。
--------------------
yi(斎)-yiつ(斎つ)
-yiふ(言ふ)-yiはす(言はす)-yiはせる-yiはせらる-yiはせられる
-yiはる(言はる)-yiはれる
-yiむ(斎む)-yiまふ(斎まふ)
-yiる(言る)-yiらふ(応答ふ)〔「yiる」は伝わらなかった〕
--
ゆ(結)-ゆす(結す)-ゆすふ(結すふ)「まゆすひ真結m4427」
-ゆふ(結ふ)-ゆはふ(結はふ)-ゆはへる-ゆはへらる-ゆはへられる「ゆひ結」
ye(結)-yeふ(結ふ)「かたye方結」「yeひ結」
--------------------<ゆゆゆ>
ゆ( )-ゆづ(譲づ)-ゆだぬ(委だぬ)-ゆだねる-ゆだねらる-ゆだねられる
-ゆづる(譲づる)-ゆづらす-ゆづらせる-ゆづらせらる-ゆづらせられる
-ゆづらふ
-ゆづらる-ゆづられる
--------------------
ゆ(湯)-ゆづ(湯づ)-ゆだる(茹だる)(「うだる」の形も)
-ゆでる(茹でる)-ゆでらる-ゆでられる
--------------------<yeyeye>
ye(縒)-yeる(縒る)
よ(縒)-よる(縒る)-よれる(縒れる)「よりいと撚糸」
--------------------<よよよ>
よご(汚 )-よごす(汚ごす)-よごさる-よごされる「けがす、こがす、にごす」
-よごる(汚ごる)-よごれる
--------------------
よ(寄)-よす(寄す)-よさす(寄さす)-よさせる
-よさる(寄さる)
-よする(寄する)
-よせる(寄せる)-よせらる-よせられる
-よそふ(装そふ)-よそはす-よそはせる-よそはせらる-よそはせられる「きよそふ着」
-よそはる-よそはれる
-よそほふ「よそひ装~よそほひ装、ふなよそひ舟装*艤装」
-よそほる
-よそる(寄そる)-よそらる-よそられる「よそりつま寄妻」
-よる(寄る)-よらす(寄らす)-よらせる
-よらふ(寄らふ)
-よらる(寄らる)-よられる
-よろふ(鎧ろふ)-よろほふ「よろひ鎧-よろほひ鎧」
カ接:かよる頼(か+よる寄)
タ接:たよる頼(た+よる寄)「たより便」
--------------------
よ(呼)-よぶ(呼ぶ)-よばす(呼ばす)-よばせる
-よばふ(呼ばふ)-よばはる「よばひ夜這」
-よばる(呼ばる)-よばれる
-よむ(読む)-よます(読ます)-よませる-よませらる-よませられる
-よまふ(読まふ)
-よまる(読まる)-よまれる
サ接:さよばふ「さよばひ」
--------------------
0 件のコメント:
コメントを投稿