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(以下のハ行動詞群は、”物と物の間を広げる”という概念を共有していると見てひとつにまとめた。)
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は( )-はく(掃く)=ははく(掃はく)「はけ掃/刷毛、ははき(ほうき)箒」
-はかす(捌かす)-はかせる
-はかゆ(捌かゆ)
-はかる(掃かる)-はかれる
-はける(捌ける)
-はこぶ(運こぶ)-はこばす-はこばせる
-はこばる-はこばれる
-はぐ(剥ぐ)-はがす(剥がす)-はがさる-はがされる
-はがつ(剥がつ)-はがたる-はがたれる「ひはがち樋剥*廃渠槽」
-はがる(剥がる)-はがれる
-はぐる(逸ぐる)-はぐらす(「はぐらかす」の形も)
-はぐれる
-はげる(剥げる)「はげ禿」
は( )-はず(爆ず)-はじく(弾じく)-はじかる-はじかれる
-はじける
-はじむ(始じむ)-はじまる
-はじめる
-はずむ(弾ずむ)-はずます-はずませる
-はぜる(爆ぜる)
-はつ(果つ)-はたす(果たす)-はたさす-はたさせる「はた/はな端、はて果」
-はたさる-はたされる
-はたせる
-はたつ(果たつ)
-はつる(果つる)
-はてる(果てる)
-はつ(剥つ)-はつる(剥つる)
-はづ(開づ)-はだく(開だく)-はだかる 「はだ露/肌、はだか裸、はだし裸足」
-はだくる
-はだける
-はだつ(開だつ)
-はぢく(外ぢく)-はぢかる-はぢかれる(”除外する”の意。「はじく弾」とは別)
-はづす(外づす)-はづさる-はづされる
-はづる(外づる)-はづれる
-はづ(恥づ)-はぢす(恥ぢす)-はぢしむ「はぢ恥/辱」
-はぢしる-はぢしらふ
-はぢむ(恥ぢむ)
-はぢる(恥ぢる)-はぢらふ
-はづる(恥づる)
-はぬ(放ぬ)-はなす(放なす)-はなさる-はなされる
-はなつ(放なつ)-はなたる-はなたれる「ひはなち樋放」
-はなる(離なる)-はなれる「くもはなる雲離」
-はぬ(撥ぬ)-はねる(撥ねる)-はねらる-はねられる(跳ぬ、撥ぬ、刎ぬ)
-はふ(放ふ)-はふる(放ふる/屠ふる)
-はぶ(葬ぶ)=ははぶ(葬ぶる)-ははぶる「ははぶる(はうぶる/ほうむる葬)」
-はぶる(葬ぶる)
-はぶ(放ぶ)=はばく(蔓延く)-はばかる「世にはばかる」
-はびこる「野にはびこる」
-はむ(放む)=ははむ(放はむ)-ははむる「ははむる(ほうむる葬)」
-はむる(葬むる)
-はゆ(蝕ゆ)-はyeる(蝕yeる)「はye蝕(日蝕や月蝕の「蝕」)、はyeつく(皆既日蝕)」
-はる(張る)-はらす(張らす)-はらさる-はらされる「はら原、はら腹」
-はらせる
-はらふ(払らふ)-はらはる-はらはれる「はらへ祓、かむはらひはらふ」
-はらる(散らる)-はららく-はららかす「くゑはららかす」
-はるく(遥るく)-はるかす「みはるかす見遥」
-はれる(晴れる)
-はる(払る)-はらふ(払らふ)-はらはる-はらはれる「はらへ、おはらひ祓」
-はる(墾る)「はるた墾田、にひばり新墾」
-はwu(壊wu)「はゑ(破壊)」〔やぶりこわす〕
ア接:あばく暴(あ+はく掃/はぐ剥)
サ接:さばく捌(さ+はく掃)
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ひ(低)-ひく(引く)-ひかす(引かす)-ひかさる「ひきし/ひくし低シ、ひきやま低山」
-ひかせる
-ひかふ(引かふ)-ひかへる(控かへる)
-ひかゆ(引かゆ)-ひかyeる(控かyeる)
-ひかる(引かる)-ひかれる(惹かれる)
-ひける(引ける)
-ひす(秘す)-ひすむ(潜すむ)
-ひそむ(潜そむ)-ひそます-ひそませる「ひそひそ-ひっそり」「ひさめく(私語)」
-ひそまる
-ひそめる
-ひむ(秘む)-ひめる(秘める)-ひめらる-ひめられる
-ひぬ(鄙ぬ)-ひなぶ(鄙なぶ)「ひな鄙、ひなさかる鄙放」「ひね陳、ひねひねし」
-ひねる(陳ねる)
-ひら(平ら)-ひらく(開らく)-ひらかす-ひらかせる「おしひらく押開、ひきひらく引開」
-ひらかる-ひらかれる
-ひらける
-ひる(放る)〔屁を放る〕
-ひる(簸る)〔篩を振る〕
-ひろ(広ろ)-ひろぐ(広ろぐ)-ひろがる「ひろし広シ」
-ひろげる-ひろげらる-ひろげられる
-ひろごる
-ひろむ(広ろむ)-ひろまる「つぎひろむ、ひろめのぶ」
-ひろめる-ひろめらる-ひろめられる
-ひろる(広ろる)
-ひwu(聶wu)「ひゑ刀、あをひゑ青竹刀」
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ふ( )-ふく(拭く)-ふかす(拭かす)-ふかせる
-ふかる(拭かる)-ふかれる
ふ( )-ふく(深く)-ふかす(深かす)(深く/古く/更く/老く)「きふ(来経)」「ふかし深シ」
-ふかむ(深かむ)-ふかまる
-ふかめる
-ふくる(膨くる)-ふくらす-ふくらせる
-ふくれる
-ふける(深ける)(更ける/耽ける/老ける)
-ふつ(太つ)-ふとる(太とる)-ふとらす-ふとらせる「ふとし太シ」
-ふる(古る)-ふるす(古るす)(経る)「ふるし古シ」
-ふるぶ(古るぶ)-ふるびる
-ふるむ(古るむ)
イ接:いふく(息吹)「いふき/いぶき」
ハ接:はぶく省(は+ふく拭)
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へ( )-へく(吐く)
-へぐ(剥ぐ)-へがす(剥がす)〔薄く削りとる、そぐ〕
-へがる(剥がる)
-へこ(凹こ)-へこむ(凹こむ)-へこます-へこませる
-へす(減す)
-へず(減ず)-へずる
-へつ(削つ)-へつる(削つる)
-へづ(隔づ)-へだす(隔だす)「へだし隔」
-へだつ(隔だつ)-へだたす
-へだたる
-へだてる-へだてらる-へだてられる
-へぬ(隔ぬ)-へなつ(隔なつ)-へなたる(d-n相通形)
-へなる(隔なる)「きへなる来隔」(d-n相通形)
-へる(減る)-へらす(減らす)-へらさす-へらさせる
-へらさる-へらされる
-へる(経る)〔距離・時間〕
ア接:あへく/あへぐ(喘く)
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ほ( )-ほく(誇く)-ほこる(誇こる)-ほころふ
-ほころぶ-ほころびる
-ほく(放く)-ほかす(放かす)
-ほぐ(解ぐ)-ほぐす(解ぐす)-ほぐさる-ほぐされる「ほぐかみ反故紙」
-ほぐる(解ぐる)-ほぐらす
-ほぐれる
-ほごす(解ごす)「ほご反故」
-ほず(穿ず)-ほじる(「ほじくる」の形も)
-ほぜる
-ほつ(解つ)-ほつく(解つく)
-ほつす(解つす)
-ほつる(解つる)-ほつれる
-ほとぶ(解とぶ)-ほとばす「ほとばしる/ほどはしる(迸る)」
-ほとびる
-ほとぼす(「ほとばかす」の形も)
-ほづ(解づ)-ほだす(解だす)-ほださる-ほだされる
-ほだつ(解だつ)-ほだてる
-ほどく(解どく)-ほどかす-ほどかせる「ほどろ」
-ほどかる-ほどかれる
-ほどける
-ほどこす-ほどこさる(施す)
-ほどこる
-ほふ(放ふ)-ほふる(屠ふる)
-ほる(放る)
-ほる(掘る)-ほらす(掘らす)-ほらせる
-ほらる(掘らる)-ほられる
和語ではハ行音は非常に特徴的で、物と物、事と事が互いに距離を取る、離す・離れるという事態、或いは情況を言う。そのような事態を「は/ひ/ふ/へ/ほ」のそれぞれとそれに続く二拍目の音によって細かく言い分けている。
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はか( )-はかる(計かる)-はからす-はからせる「かりばか刈計、おもんぱかる慮」
-はからふ
-はからる-はかられる
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は( )-はく(吐く)-はかす(吐かす)-はかせる
ふ( )-ふく(吹く)=ふぶく(吹雪く)「ふぶき吹雪」
-ふかす(吹かす)-ふかせる
-ふかる(吹かる)-ふかれる
-ふくる(膨くる)-ふくらす-ふくらせる(膨れる)「ふくろ袋」
-ふくらむ-ふくらます-ふくらませる
-ふくれる
-ふくろぶ
-ふゆ(吹ゆ)「ふye笛」
-へく(吐く)
ア接:あはく(ア吐く)
あふく(扇ふく)
あふぐ(扇ふぐ)-あふがす
-あふがる
あふつ(煽ふつ)
あふる(煽ふる)-あふらる-あふられる(煽る/呷る)
あへく/あへぐ(喘ぐ)
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は( )-はく(佩く)-はかす(佩かす)-はかせる(履く*穿く)
-はける(佩ける)
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は( )-はす( )
ほ( )-ほつ( )
コ接:こはす(壊はす)-こはさる/こはれる-こはされる
コ接:こほつ(壊ホつ)
こぼつ(壊ぼつ)-こぼたる
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は( )-はす(馳す)-はさす(走さす)-はささく「はしこし捷シ」
-はしる(走しる)-はしらす-はしらせる「はしりで/わしりで」
-はする(走する)
-はせる(走せる)(馳す-馳せる)
わ( )-わす(走す)-わしす(走しる)
-わしる(走しる)「わしりで」(「はしる」の近世的異形という)
サ接:さばしる
タ接:たばしる
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は(生)-はふ(生ふ)-ははす(延はす)-ははさす「かたちはふ;はふくず葛、はふつた蔦」
-はゆ(生ゆ)-はやす(生やす)-はやさす-はやさせる(映ゆ)「はやし林」「もちはやす」
-はやさる-はやされる
-はやる(逸やる)(流行る)
-はゆる(生ゆる)
-はyeる(生yeる)(栄える、映える)
-はる(生る)「はる春」
ふ(生)-ふく(生く)-ふかす(生かす)-ふかせる(「ふ生-ふく」は”芽吹く”の意。”(風が)吹く”とは別)
-ふゆ(殖ゆ)-ふやす(殖やす)-ふやさす-ふやさせる
-ふやさる-ふやされる
-ふやせる
-ふyeる(殖yeる)
ほ( )-ほふ(生ふ)「きほふ/きそふ、いきほふ、うるほふ、にほふ匂」
オ接:おふ(生ふ)-おはす
-おはる(生はる)「おひしく生及、おひたつ生立、おひつぐ生継」
-おふる(生ふる)
-おへる(生へる)
-おほす(生ほす)
おゆ(生ゆ)-おやく(生やく)-おやかす
-おやける
-おやす(生やす)
-おyeる(生yeる)
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は( )-はふ(這ふ)-ははす(這はす)-ははせる「ちはふ霊這、はへなは延縄、はふむし這虫」
-ははる(這はる)-ははれる
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ば( )-ばふ(奪ふ)〔「まふ舞」意か〕
ウ接:うばふ/むばふ奪
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は( )-はむ(嵌む)-はまる(嵌まる)
-はめる(嵌める)-はめらる-はめられる
コ接:こばむ拒-こばまる-こばまれる
ハ接:はばむ阻-はばまる-はばまれる
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はや(早 )-はやぶ(早やぶ)「はやし(早シ/速シ)」
-はやむ(早やむ)-はやまる
-はやめる
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は( )-はゆ(吠ゆ)
ほ( )-ほゆ(吠ゆ)-ほやす(吠やす)
-ほゆる(吠ゆる)
-ほyeる(吠yeる)-ほyeらる-ほyeられる「ゐぬほye犬吠、とほぼye遠吠」
イ接:いはゆ/いばゆ(嘶ゆ)
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は( )-はゆ(映ゆ)-はyeる(映yeる)
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は( )-はる(張る)-はらす(張らす)-はらせる(腫る)「はら腹、はら原」
-はらむ(孕らむ)-はらます-はらませる
-はらる(張らる)-はられる
-はれる(腫れる)
ひ( )-ひろ(広 )-ひろぐ(広ろぐ)-ひろがる
-ひろげる
-ひろごる
-ひろむ(広ろむ)-ひろまる
-ひろめる
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は( )-はる(墾る)「はりた墾田、はりみち墾道」
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は( )-はる(撲る)-はらる(撲らる)-はられる「はりたふす撲倒」
--------------------<ひひひ>
ひ( )-ひく(弾く)=ひびく(響びく)-ひびかす-ひびかせる「ことひき琴弾、かきひく掻弾」
-ひかす(弾かす)-ひかせる
-ひかる(弾かる)-ひかれる
-ひける(弾ける)
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ひ( )-ひく(碾く)-ひかす(碾かす)-ひかせる
-ひかる(碾かる)-ひかれる
-ひす(拉す)-ひさぐ(拉さぐ)-ひさげる(ひしゃぐ-ひしゃげる)
-ひしぐ(拉しぐ)-ひしがる-ひしがれる
-ひづ(拉づ)-ひだく(拉だく)「とりひだく」
一拍語「ひ」は、稗や粟を臼で潰して粉にする意か。
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ひ(疼)-ひく(疼く)=ひひく(疼ひく)「ひりひりする(記神武)」《ひりひり》
-ひる(疼る)=ひひる(疼ひる)-ひひらく〔ひりひり痛む〕
-ひひろぐ
一拍語「ひ」は、和人の苦痛の悲鳴の模写語か。
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ひ( )-ひつ(漬つ)-ひたす(漬たす)-ひたさる-ひたされる《ひたひた》
-ひたる(漬たる)
-ひてる(漬てる)
-ひづ(漬づ)-ひづつ(漬づつ)(万3969他)
-ひづる(漬づる)
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ひ(秀)-ひづ(秀づ)=ひひづ(秀ひづ)-ひひでる
ほ(秀)「ほ(秀*帆*穂)」「ほろ秀、まほろば」
「ほ穂」のように高く突き出た雄々しいものを言うハ行渡り語の一部と見られる。
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(ひづ)-ひづむ(歪づむ)-ひづます(歪ます)-ひづませる「ひだ襞」
-ひづめる(歪める)
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ひ(氷)-ひゆ(冷ゆ)-ひやす(冷やす)-ひやさる-ひやされる「ふゆ冬」「ひやひや、ひyeびye」
-ひyeる(冷yeる)
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ひら( )- -ひらめく《ひらひら》
ひろ( )- -ひろめく(稲光が光る)(虺く)
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(ひ-ひる)-ひらふ(拾らふ)-ひらはる-ひらはれる「ひらひまつぶ拾集」
-ひりふ(拾りふ)「沖つ白玉ひりひて」
-ひろふ(拾ろふ)-ひろはす-ひろはせる
-ひろはる-ひろはれる
「ひりふ」「ひろふ」は万葉集に用例があり「ひらふ」は新しい。不詳。
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ひ(火)-ひる(干る)
ふ(火)「あしふ葦火」
ほ(火)-ほす(干す)-ほさす(干さす)-ほさせる
-ほさる(干さる)-ほされる
-ほせる
-ほつ(火つ)-ほてる(火てる)「おもほてる面熱」
-ほとぶ(火とぶ)-ほとぼる「ほとぼり」
-ほむ(火む)-ほめく
サ接:さぼす干
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ひ(簸)-ひる(簸る)「ひ簸」
-ひる(冲る)=ひひる(冲ひる)(飄る)「ひひる蛾」
ふ(振)-ふく(振く)「はふく羽振」
-ふゆ(振ゆ)「みたまのふゆ恩頼」
-ふる(振る)-ふらす(振らす)-ふらせる「ふるひ篩、なゐふる地震、はるふ羽振」
-ふらる(振らる)-ふられる
-ふるふ(震るふ)-ふるはす-ふるはせる「ふるひ篩」
-ふるへる
-ふれる(振れる)
模写語《ひ-ひら-ひらひら》《ふ-ふら-ふらふら》などをもとにするか。
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ひ( )-ひる〔(屁を)放る〕
--------------------<ふふふ>
ふ( )-ふく(伏く)-ふくす(伏くす)-ふくする
-ふす(伏す)-ふさす(伏さす)-ふさせる
-ふせる(伏せる)
-ふむ(踏む)-ふます(踏ます)-ふませる「ふみあだす、ふみおこす、ふみからす」
-ふまる(踏まる)-ふまれる
-ふる(降る)-ふらす(降らす)-ふらせる
-ふらる(降らる)-ふられる
ほ( )-ほむ(践む)「ほむし践石*蹈石」
カ接:かぶす被-かぶさる/かぶせる
力や動作が上から下へ及ぶ意か。
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ふ( )-ふく(葺く)「屋根を葺く」
「ふく」は、雨や日射を防ぐために木組みの上部を覆うことで、上記の「ふ」動詞のひとつと考えられる。それは、別に扱ったオ接動詞「おく、おす、おつ、おる」などのひとつ「おふ(覆ふ)」の「ふ」でもあるであろう。
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(ふす-)ふさふ(相応ふ)-ふさはす 「これは布佐波ず(記上)、ふさはし(相応シ)」
フ接語か。「さ、す」は漢字”然”で表される意か。
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ふた(蓋 )-ふたぐ(蓋たぐ)-ふたがる
-ふさぐ(塞さぐ)-ふさがる(t-s相通形)
-ふせぐ(防せぐ)
-ほせく(防せく)
「ふたぐ」「ふさぐ」を(t-s)相通語としたが無理のようである。
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ふつく( )-ふつくむ(憤/恚/怒)〔怒る〕(類「ふしこる」)
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ふと(太 )-ふてる(太てる)「ふとし(太シ)、ふてぶてし」
-ふとぶ(太とぶ)
-ふとむ(太とむ)
-ふとる(太とる)-ふとらす-ふとらせる
タ接:たふとぶ尊「たふとし尊(た+ふと太)」
マ接:まふとむマ太
難語である。「ふ」は、おそらく「ふくる膨」の「ふ」と通用であろうが、そこまでである。
日国「ふとい」の補注欄に『上代には、語幹「ふと」が「ふとしく」「ふとしる」「ふとのりと」など、神やそれに準ずるものに関する名詞や動詞に上接するところから、賛美の意が込められていたと考えられる』とある。
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ふ(綜)-ふる(綜る)(経糸を機にかける)
へ(綜)-へる(綜る)「へ綜〔織機の経糸掛け〕、へそ綜麻」
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ふ( )-ふる(触る)-ふらぶ(触らぶ)-ふらばふ(「ふらばふ触這*触経」?)記雄略
-ふらる(触らる)
-ふれる(触れる)-ふれらる-ふれられる
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ふ( )-ふる(狂る)-ふれる(狂れる)(「くる転」のk-h相通か)
--------------------<へへへ>
へ(圧)-へす(圧す)「おしあひへしあひ、へしをる折」
-へる(謙る)「へりくだる、おしへる、おとしへる」
一拍語「へ(凹/減/圧/謙/)」も、類似のハ行縁語とともに総括されるであろう。
--------------------<ほほほ>
ほ(秀)-ほく(寿く)=ほほく(婪ほく)-ほほける「ほきうた祝歌、かむほき神祝、ことほぎ言寿」
-ほかす(寿かす)
-ほかふ(寿かふ)「ほかひひと乞食者、さかほかひ酒楽」
-ほける(寿ける)
-ほこる(寿こる)-ほころふ(誇る)
-ほぐ(寿ぐ)-ほがふ(寿がふ)「ことほぐ」
-ほす(寿す)-ほさく(寿さく)「かむほさきほさきく」
-ほせく(寿せく)
-ほつ(寿つ)-ほたく(寿たく)「ほたきこと談咲」
-ほむ(褒む)-ほまる(褒まる)「ほまれ誉」
-ほめる(褒める)-ほめらる-ほめられる
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ほ(惚)-ほく(惚く)=ほほく(惚ほく)-ほほける「やみほほく病耄」
-ぼく(惚く)-ぼかす(惚かす)
-ぼける(惚ける)
-ほる(惚る)-ほれる(惚れる)-ほれらる-ほれられる(惚る*慌る*耄る)
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ほ(欲)-ほす(欲す)「ほし(欲シ)、きほし着欲」
-ほる(欲る)-ほりす(欲りす)「ほりし(欲りシ)」
オ接:おほく-おほける(婪く/嬰く)〔貪り食う〕
ト接:とぼく-とぼける
マ接:まほる(貪る)
まぼる(貪る)
ムサ接:むさぼる(貪る)(むしゃむしゃ食べる)
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ほろ(模写)-ほろぶ(滅ろぶ)-ほろびる《ほろほろ》
-ほろぼす-ほろぼさる-ほろぼされる
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