--------------------<あああ>
あ(生)-あす(生す)
-ある(生る)-あらす(有らす)-あらせる-あらせらる-あらせられる
-あらふ(有らふ)-あらはす-あらはさす(現わす)「あらは露」
-あらはさる
-あらはせる
-あらはふ
-あらはる-あらはれる(現わる)
-ある(新る)-あらく(新らく)
-あらつ(新らつ)-あらたむ-あらたまる「あらたし新」
-あらためる-あらためらる-あらためられる
-あらふ(新らふ)-あらはす-あらはせる(洗ふ)
-あらはる-あらはれる
-ある(荒る)-あらく(荒らく)-あらかふ
-あらける
-あらぐ(荒らぐ)-あらがふ
-あらげる
-あらす(荒らす)-あらさる-あらされる
-あらそふ-あらそはす-あらそはせる(争ふ)
-あらぶ(荒らぶ)-あらびる
-あらぶる
-あれぶ(荒れぶ)
-あれる(荒れる)
--------------------
あ(明)-あく(明く)-あかす(明かす)-あかさる-あかされる〔あ(赤)-あく(赤く)〕
-あかぶ(赤かぶ)-あかばむ
-あかむ(赤かむ)-あかめる
-あかる(赤かる)-あからぶ
-あからむ-あからめる
-あかるむ
-あきる(明きる)-あきらむ-あきらめる(諦らむ)
-あける(明ける)
--------------------
あ( )-あく(飽く)-あかす(飽かす)-あかせる
-あきる(飽きる)-あきらむ-あきらめる(諦らむ)
-あきらる-あきられる
--------------------
あ(上)-あぐ(上ぐ)-あがる(上がる)
-あげる(挙げる)-あげらる-あげられる
-あふ(仰ふ)-あふぐ(仰ふぐ)-あふがす-あふがせる「あふのく仰伸、あふむく仰向」
-あふがる-あふがれる
-あふる(呷ふる)
う(上)-うく(浮く)-うかす(浮かす)-うかせる
-うかぶ(浮かぶ)-うかばす-うかばせる
-うかばる-うかばれる
-うかべる-うかべらる-うかべられる
-うかむ(浮かむ)
-うかる(浮かる)-うかれる「うかれひと浮人/浮浪、うかれめ遊行女婦」
-うくる(受くる)
-うけふ(受けふ)
-うける(受ける)
う(上)-うへ(上 )
渡り語「あ/う」で上空、上部、上辺を表わしていると見られる。
--------------------
あ( )-あぐ(倦ぐ)-あぐぬ(倦ぐぬ)-あぐねる
-あぐむ(倦ぐむ)
--------------------
あ( )-あす(浅す)-あさふ(浅さふ)「あさし(浅シ)」
-あさむ(浅さむ)「あさまし」
--------------------
あ( )-あず(交ず)-あざぬ(糾ざぬ)-あざなふ-あざなはる「あぜくら校倉」
-あざふ(糾ざふ)-あざはふ
-あざはる〔もつれあう/からみあう/交叉する〕
-あず(戯ず)-あざる(戯ざる)〔取り乱し騒ぐ〕
「まず(交ず)」の(m-&)相通形か。
--------------------
あた(敵た)-あたく(敵たく)-あたける「あたし敵シ」
-あたす(敵たす)
-あたぬ(敵たぬ)-あたなふ「あたなふ寇」〔害をなす〕
-あたふ(敵たふ)
-あたむ(敵たむ)-あたまる
あだ(仇だ)-あだく(仇だく)「あだし仇シ」
-あだす(仇だす)(「ふみあだす」-踏んでばらばらにする)
-あだふ(仇だふ)
--------------------
あつ(熱つ)-あたつ(熱たつ)-あたたむ-あたたまる「あたたか暖、あたみ熱海」
-あたためる
-あつく(熱つく)-あつかふ(悶熱)「あつし熱シ、あつし暑シ」
-あつゆ(篤つゆ)
-あつる(暑つる)
いた(痛た)-いたむ(痛たむ)-いためる「いたし(痛シ)、いたまし(痛まシ)」
--------------------
あは(淡 )-あはす(淡はす)「あはし(淡シ)」
-あはつ(淡はつ)-あはたす
-あはづ(淡はづ)〔淡くなる、浅薄になる、衰える〕
-あはむ(淡はむ)
さは(醂 )-さはす(醂はす)「さはし(淡シ)」(&-s相通形)
-さはむ(醂はむ)
--------------------
あ( )-あふ(合ふ)-あはす(合はす)-あはさす
-あはさる-あはされる
-あはせる
-あはふ(合はふ)「あはひ間」
-あへす(合へす)
-あへる(和へる)「和へ物/虀へ物」
--------------------
あ( )-あふ(饗ふ)「あへのこと」
--------------------
あ( )-あふ(敢ふ)「あへて(敢て)」
--------------------
あむ(編む)-あます(編ます)-あませる「あみ網」
-あまる(編まる)-あまれる
「み(箕)」の渡り語で動詞形「む」のア接語か。日国「み箕」の項の語源説欄には「モ(裳)の転〔日本古語大辞典=松岡静雄〕」との説が見える。いずれも竹ひごや糸を”編ん”で作る。
--------------------
あ( )-あゆ(零ゆ)-あyeす(零yeす)「あyeか」
-あyeる(零yeる)
--
-あやす(零やす)-あやしむ「あやし(怪シ)」
-あやぶ(危やぶ)-あやぶむ「あやふし危ふシ」
-あやむ(誤やむ)-あやまつ〔過誤〕
-あやまる(誤まる・謝まる)〔過誤・謝罪〕
-あやめる(誤める、危める、殺める〔殺人〕)
「あゆ(零ゆ)」は木の実が熟して落ちたり、汗や血がしたたり落ちることを言うとされる。これと上記の不詳語の「怪しむ、過まつ、誤まる」などを結びつけることができないか。
--------------------
あ( )-あゆ(肖ゆ)-あやく(肖やく)-あやかる〔似る〕
-あyeる(肖yeる)
--------------------
あ( )-ある(離る)-あらく(離らく)(散る-散らく)
-あらつ(離らつ)
--------------------
あ( )-ある(足る)-ありく(歩りく)〔「足る」は残らなかった〕
-あるく(歩るく)-あるかす-あるかせる
-あるける
-さるく(歩るく)(&-s相通形)
時系列「し-あし-あ(足)」の最後の「あ」時代の語。
--------------------
あわ(泡 )-あわつ(慌わつ)-あわてる「あわたたし(慌シ)」
-いわく〔驚き慌てる〕
--------------------<いいい>
い( )-いく(熱く)-いかる(怒かる)-いからす-いからせる
-しかる(叱かる)-しからる-しかられる(&-s相通語)
-いきむ(熱きむ)-いきまふ-いきまはる
-いきる(熱きる)-いきれる
-いくぶ(憤くぶ)
-いくむ(憤くむ)「いくみうらむ」
-いこる(熾こる)
-いつ(酡つ)-いてる(酡てる)
-いる(沃る)
-いる(煎る)
-いる(鋳る)
お( )-おく(熱く)-おこす(熾こす)
-おこる(熾こる)
「加熱する」「発熱する」意か。「瞋、怒、恚、憤、慍、懥、熾・・」
--------------------
いす( )- -いすすく〔そわそわする、驚き騒ぐ〕
いそ( )-いそぐ(急そぐ)-いそがす-いそがせる「いそし、いそがし忙シ」《いそいそ》
-いそがる-いそがれる
-いそす(勤そす)-いそしむ
-いそふ(争そふ)
うす( ) -うすすく〔そわそわする、驚き騒ぐ〕
--------------------
いざ( )-いざす(誘ざす)
-いざぬ(誘ざぬ)-いざなふ
--------------------
いた:いたつく(労つく)「いたつき労」
いたはる(労はる)-いたはらる-いたはられる「いたはし労シ」「いたひけなし(幼気なし)」
いつ:いつく(傳助)~いつくしむ「いつきかしづく(斎傅/愛育)」
いつふ-いつはる(偽る)
いと: -いとしむ(愛しむ)「いとこ愛子」「いとし(愛シ)」
-いとなむ(営む)
いとふ(愛惜)~いとほしむ「いとほし(愛シ)」
うつ:うつく(傳助)~うつくしむ「うつくし(美シ)」
--------------------
いぢ(苛ぢ)-いぢく(苛ぢく)-いぢくる《いぢいぢ》
-いぢける
-いぢむ(苛ぢむ)-いぢめる-いぢめらる-いぢめられる
-いぢる(苛ぢる)-いぢらる-いぢられる「いぢらし」
--------------------
い( )-いつ(至つ)-いたす(至たす)「いただく頂~いただき、いなだく~いなだき」(t-n相通形)
-いたる(至たる)-いたらす至-いたらしむ
--------------------
い( )-いつ(凍つ)-いてる(凍てる)
--------------------
い( )-いゆ(癒ゆ)-いやす(癒やす)-いやさる-いやされる
-いyeる(癒yeる)
--------------------
いら(苛ら)-いらす(苛らす)《いらいら》
-いらつ(苛らつ)
-いらふ(苛らふ)
-いらる(苛らる)-いららぐ
--------------------
い( )-いる(要る)〔必要とする〕
--------------------
い( )-いる(入る)-いらす(入らす/貸らす)「いらしもの利息、いらしのいね貸稲、いらしのおほちから貸税」
-いらふ(入らふ/借らふ)
-いらる(入らる)「いりあひ入会」
-いれる(入れる)-いれらる-いれられる
母音語の常で不可解である。「い」が「入」の意味をもたなければならないが、イ段の一拍語のどれかの頭の子音が落ちたものと考えるほかない。「いる入」に限らないが、ほかの考え方を見つけたいものである。
--------------------
い( )-いる(沃る)〔水を注ぐ、浴びせる〕
--------------------
い( )-いる(鋳る)〔鋳造する〕
--------------------
い( )-いる(煎る)-いらる(煎らる)-いられる〔(豆を)あぶりこがす〕
--------------------<ううう>
う(埋)-うむ(埋む)-うまる(埋まる)
-うめる(埋める)-うめらる-うめられる
-うもる(埋もる)-うもれる「うもれき埋れ木」
-うづ(埋づ)-うづむ(埋づむ)-うづまる
-うづめる-うづめらる-うづめられる
-うづもる-うづもれる
--------------------
う(得)-うる(得る)
え(得)-える(得る)-えらる(得らる)-えられる
--------------------
う( )-うる(売る)-うらす(売らす)-うらせる-うらせらる-うらせられる
-うらる(売らる)-うられる
-うれる(売れる)
--------------------<えええ>
--------------------<おおお>
お( )-おく(置く)-おかす(置かす)-おかせる-おかせらる-おかせられる
-おかる(置かる)-おかれる
-おきつ(掟きつ)「おきて掟」
-おこつ(怠こつ)-おこたる
-おす(押す)-おさす(押さす)-おさせる
-おさふ(抑さふ)-おさへる-おさへらる-おさへられる
-おさる(押さる)-おされる
-おそふ(襲そふ)-おそはる-おそはれる
-おそぶ(押そぶ)-おそぶる-おそぶらふ
-おつ(落つ)-おちる(落ちる)「おとがひ頤/乙貝、おとひと弟人、おとひめ乙姫、おとむすめ妹娘」
-おつる(落つる)
-おとす(落とす)-おとさす-おとさせる
-おとさる-おとされる
-おとしむ-おとしめる-おとしめらる-おとしめられる「おとしむ貶」
-おとる(劣とる)-おとろふ-おとろへる「おとろふ衰」
-おふ(覆ふ)-おほふ(覆ほふ)-おほはす-おほはせる
-おほはる-おほはれる
-おる(降る)-おりる(降りる)
-おるる(降るる)
-おろす(降ろす)-おろさす-おろさせる
-おろさる-おろされる
オ接動詞群である。上から下へ力が及ぶ様をさまざまに言い分けている。「上から下へ」語群である。
--------------------
お(追)-おく(措く)-おくす(臆くす)
-おくる(遅くる)-おくらす-おくらせる(遅る/送る)
-おくらる-おくられる
-おくれる
-おこつ(怠こつ)-おこたる
-おこつく
-おこつる
-おこす(遣こす)「言い遣す、思ひ遣す、見遣す」
-おこる(遣こる)
-おふ(追ふ)-おはす(追はす)-おはせる
-おはふ(追はふ)
-おはる(追はる)-おはれる
「後ろから」語群である。
--------------------
お(怖)-おく(恐く)-おくす(臆くす)-おくする「おめずおくせず」
-おす(恐す)-おさふ(押さふ)-おさへる-おさへらる-おさへられる
-おさる(押さる)-おされる
-おそふ(襲そふ)-おそはす-おそはせる
-おそはる-おそはれる
-おそる(恐そる)-おそれる「おそろし恐ろシ」
-おず(悍ず)-おぞむ(悍ぞむ)「おずし/おぞし悍シ」「おぞまし悍まシ」
-おづ(怖づ)-おぢく(怖ぢく)-おぢける《おづおづ、おどおど》
-おぢむ(怖ぢむ)
-おぢる(怖ぢる)
-おづる(怖づる)
-おどく(脅どく)-おどかす-おどかさる-おどかされる
-おどす(脅どす)-おどさる-おどされる
-おぶ(怖ぶ)-おびゆ(怯びゆ)-おびやく-おびやかす-おびやかさる-おびやかされる
-おびやす
-おびyeる
-おびる(怯びる)
-おむ(怖む)-おむる(怯むる)「おめずおくせず」《おめおめ》
-おめる(怯める)
-おる(怖る)-おらぶ(哭らぶ)
『恐怖の「お」』語群である。
--------------------
お( )-おく(起く)-おきる(起きる)
-おこす(起こす)-おこさる-おこされる(熾す)
-おこる(起こる)-おこらす-おこらせる(熾る)
--------------------
お( )-おぐ(驕ぐ)-おごる(驕ごる)
--------------------
おそ(遅そ)-おそぬ(遅そぬ)-おそなふ-おそなはる「おそし(遅シ)」
--------------------
おだ(穏だ)-おだふ(穏だふ)「おだし(穏シ)、おだひ/おだひし(穏ひシ)、おだやか穏」
-おだむ(穏だむ)
--------------------
お( )-おふ(負ふ)-おはす(負はす)-おはせる-おはせらる-おはせられる「せおふ背負」
-おはる(負はる)-おはれる「おはれかかる負掛」
-おふす(負ふす)
-おほす(負ほす)(負す、課す)「ておほす手負、おほせこと仰言」
-おぶ(帯ぶ)-おばす(帯ばす)「おび帯」
-おびす(帯びす)-おびさす-おびさせる
-おびる(帯びる)
--------------------
お( )-おゆ(老ゆ)-おyiる(老yiる)
-およす(老よす)-およすぐ
--------------------
お( )-おる(愚る)-おろく(愚ろく)「おろか愚」
--------------------
2018年8月27日月曜日
動詞図録
以下の9回は、多くの和語動詞の中から基本と思われる一拍動詞、二拍動詞約600語をとり上げ、それらの長語化の過程をたどり、その意味するところをもとに整理分類したものである。
和語の理解にはその根幹をなす一拍語及び二拍語の意味の解明が鍵となる。二拍語・二拍動詞の構成はたいへん複雑である。そこにはまた和語に特有の多様にして数多い模写語が深く絡んでいる。ここでは動詞の側からその解明に挑戦しようとしている。
動詞は、目で見たり手でさわれるようなものとは違って、動作や運動といった目にも見えない手にもさわれないことに割り当てられた音であり、理屈としてその接点の解明はきわめて難しい。解があるかどうかも分からないが、とにかく整理し分類するところから始めるほかない。
和語動詞のいわゆる活用は、ここではとり上げていないが、動詞の活用と長語化の間には密接な関係の存在がうかがわれる。長語化図の中に動詞活用の実態をとり込むことが当面の課題である。
このような一覧表は、日本語を話したり書いたりし、また和語、引いては日本語を考える上で不可欠のものであるであろう。日本語を過去から現在にわたってひとつ(一体)として見る見方が大切である。国語はひとつだからである。新しい国語辞典の原型となるものと思われる。
和語の理解にはその根幹をなす一拍語及び二拍語の意味の解明が鍵となる。二拍語・二拍動詞の構成はたいへん複雑である。そこにはまた和語に特有の多様にして数多い模写語が深く絡んでいる。ここでは動詞の側からその解明に挑戦しようとしている。
動詞は、目で見たり手でさわれるようなものとは違って、動作や運動といった目にも見えない手にもさわれないことに割り当てられた音であり、理屈としてその接点の解明はきわめて難しい。解があるかどうかも分からないが、とにかく整理し分類するところから始めるほかない。
和語動詞のいわゆる活用は、ここではとり上げていないが、動詞の活用と長語化の間には密接な関係の存在がうかがわれる。長語化図の中に動詞活用の実態をとり込むことが当面の課題である。
このような一覧表は、日本語を話したり書いたりし、また和語、引いては日本語を考える上で不可欠のものであるであろう。日本語を過去から現在にわたってひとつ(一体)として見る見方が大切である。国語はひとつだからである。新しい国語辞典の原型となるものと思われる。
頭積動詞一覧
和語には、下記のような「頭積動詞」と呼ぶ一定の形をとり一定の意味をもつ一群の動詞がある。日本人にはくだくだしい説明は不要であろう。
ここでは一覧と銘打ったが、もちろん、ここに掲げる他のさまざまな一覧表と同じく、これで全部という意味ではなく、全部正しいという意味でもない。頭積動詞については、その存在自体を含め、語形や発生、意味などの解明はすべて今後の課題である。
下表では、もとになる二拍動詞とその頭積動詞とを等号(=)で結んでいるが、これはあくまで便宜的な使用である。
かく(掛く)=かかぐ(掲かぐ)-かかげる
かぬ(屈ぬ)=かがぬ(屈がぬ)-かがなふ(屈なふ/僂なふ)
かふ(屈ふ)=かがふ(屈がふ)-かがふる
かふ(支ふ)=かかふ(抱かふ)-かかへる
かふ(交ふ)=かがふ(交がふ)「かがひ嬥歌」
かむ(屈む)=かがむ(屈がむ)-かがまる
くす(屈す)=くぐす(屈ぐす)「うちくす打屈」「くぐせ屈背*傴僂」
くつ(屈つ)=くぐつ(屈ぐつ)「くぐつ傀儡」
くむ(屈む)=くぐむ(屈ぐむ)-くぐもる
くる(括る)=くくる(括くる)-くくらる-くくられる
こす(凍す)=こごす(凍ごす)
こつ(託つ)=こごつ(小言つ)「こと言-こごと小言」
こむ(籠む)=こごむ(籠ごむ)
こゆ(凍ゆ)=こごゆ(凍ごゆ)-こごyeる
こる(凝る)=こごる(凝ごる)(凍ごる)
さふ(障ふ)=ささふ(支さふ)-ささへる
しむ(縮む)=しじむ(縮じむ)「しじみ蜆」
しる(縮る)=しじる(縮じる)-しじれる(縮れる)
する(吸る)=すする(啜する)
せる(擦る)=せせる
そる(隆る)=そそる(隆そる)「そそり立つ」
たく(手く)=たたく(叩たく)
たす( )=ただす(正だす)
たぬ(手ぬ)=たたぬ(畳たぬ)-たたなふ-たたなはる「くりたたぬ繰畳」
たふ(堪ふ)=たたふ(湛たふ)-たたへる(讃ふ-讃たふ)
たゆ(堪ゆ)=たたゆ(湛たゆ)-たたyeる
たむ(手む)=たたむ(畳たむ)-たたまる-たたまれる
たる(垂る)=たたる(祟たる)
たる(垂る)=ただる(爛だる)-ただれる
ちく(小く)=ちぢく(縮ぢく)-ちぢかむ-ちぢかまる
ちむ(小む)=ちぢむ(縮ぢむ)
ちる(散る)=ちぢる(縮ぢる)-ちぢらす-ちぢらせる(散る)
つく(突く)=つつく(突つく)
つく(付く)=つづく(続づく)
つむ(積む)=つつむ(包つむ)
つむ(粒む)=つづむ(約づむ)-つづまる
つる(連る)=つづる(綴づる)-つづろふ
とく(着く)=とどく(届どく)-とどける-とどけらる-とどけられる
とぬ(手ぬ)=ととぬ(整とぬ)-ととのふ-ととのへる
とむ(止む)=とどむ(留どむ)-とどまる/とどめる
なむ(並む)=ななむ(な並む)(斜なむ)
はく(掃く)=ははく(掃はく)「ははき(ほうき)帚」
はぶ(葬ぶ)=ははぶ(葬ぶる)-ははぶる「ははぶる(はうぶる/ほうむる葬)」
はぶ(放ぶ)=はばく(蔓延く)-はばかる
はぶ(葬ぶ)=ははぶ(葬ぶる)-ははぶる「ははぶる(はうぶる/ほうむる葬)」
はむ(放む)=ははむ(放はむ)-ははむる「ははむる(ほうむる葬)」
はむ(嵌む)=はばむ(阻ばむ)
ひく(弾く)=ひびく(響びく)
ひく(疼く)=ひひく(疼ひく)〔ひりひり、ひりひりする〕
ひづ(秀づ)=ひひづ(秀ひづ)-ひひでる
ひる(疼る)=ひひる(疼ひる)-ひひらく〔ひりひり痛む〕
ひる(冲る)=ひひる(冲ひる)〔が蛾〕
ふく(吹く)=ふぶく(吹雪く)
ほく(惚く)=ほほく(惚ほく)-ほほける
やむ(病む)=ややむ(病やむ)
よむ(老む)=よよむ(老よむ)(倚よむ)
わく(分く)=わわく(わ分く)
わる(割る)=わわる(わ割る)
をる(折る)=ををる(を折る)
ここでは一覧と銘打ったが、もちろん、ここに掲げる他のさまざまな一覧表と同じく、これで全部という意味ではなく、全部正しいという意味でもない。頭積動詞については、その存在自体を含め、語形や発生、意味などの解明はすべて今後の課題である。
下表では、もとになる二拍動詞とその頭積動詞とを等号(=)で結んでいるが、これはあくまで便宜的な使用である。
かく(掛く)=かかぐ(掲かぐ)-かかげる
かぬ(屈ぬ)=かがぬ(屈がぬ)-かがなふ(屈なふ/僂なふ)
かふ(屈ふ)=かがふ(屈がふ)-かがふる
かふ(支ふ)=かかふ(抱かふ)-かかへる
かふ(交ふ)=かがふ(交がふ)「かがひ嬥歌」
かむ(屈む)=かがむ(屈がむ)-かがまる
くす(屈す)=くぐす(屈ぐす)「うちくす打屈」「くぐせ屈背*傴僂」
くつ(屈つ)=くぐつ(屈ぐつ)「くぐつ傀儡」
くむ(屈む)=くぐむ(屈ぐむ)-くぐもる
くる(括る)=くくる(括くる)-くくらる-くくられる
こす(凍す)=こごす(凍ごす)
こつ(託つ)=こごつ(小言つ)「こと言-こごと小言」
こむ(籠む)=こごむ(籠ごむ)
こゆ(凍ゆ)=こごゆ(凍ごゆ)-こごyeる
こる(凝る)=こごる(凝ごる)(凍ごる)
さふ(障ふ)=ささふ(支さふ)-ささへる
しむ(縮む)=しじむ(縮じむ)「しじみ蜆」
しる(縮る)=しじる(縮じる)-しじれる(縮れる)
する(吸る)=すする(啜する)
せる(擦る)=せせる
そる(隆る)=そそる(隆そる)「そそり立つ」
たく(手く)=たたく(叩たく)
たす( )=ただす(正だす)
たぬ(手ぬ)=たたぬ(畳たぬ)-たたなふ-たたなはる「くりたたぬ繰畳」
たふ(堪ふ)=たたふ(湛たふ)-たたへる(讃ふ-讃たふ)
たゆ(堪ゆ)=たたゆ(湛たゆ)-たたyeる
たむ(手む)=たたむ(畳たむ)-たたまる-たたまれる
たる(垂る)=たたる(祟たる)
たる(垂る)=ただる(爛だる)-ただれる
ちく(小く)=ちぢく(縮ぢく)-ちぢかむ-ちぢかまる
ちむ(小む)=ちぢむ(縮ぢむ)
ちる(散る)=ちぢる(縮ぢる)-ちぢらす-ちぢらせる(散る)
つく(突く)=つつく(突つく)
つく(付く)=つづく(続づく)
つむ(積む)=つつむ(包つむ)
つむ(粒む)=つづむ(約づむ)-つづまる
つる(連る)=つづる(綴づる)-つづろふ
とく(着く)=とどく(届どく)-とどける-とどけらる-とどけられる
とぬ(手ぬ)=ととぬ(整とぬ)-ととのふ-ととのへる
とむ(止む)=とどむ(留どむ)-とどまる/とどめる
なむ(並む)=ななむ(な並む)(斜なむ)
はく(掃く)=ははく(掃はく)「ははき(ほうき)帚」
はぶ(葬ぶ)=ははぶ(葬ぶる)-ははぶる「ははぶる(はうぶる/ほうむる葬)」
はぶ(放ぶ)=はばく(蔓延く)-はばかる
はぶ(葬ぶ)=ははぶ(葬ぶる)-ははぶる「ははぶる(はうぶる/ほうむる葬)」
はむ(放む)=ははむ(放はむ)-ははむる「ははむる(ほうむる葬)」
はむ(嵌む)=はばむ(阻ばむ)
ひく(弾く)=ひびく(響びく)
ひく(疼く)=ひひく(疼ひく)〔ひりひり、ひりひりする〕
ひづ(秀づ)=ひひづ(秀ひづ)-ひひでる
ひる(疼る)=ひひる(疼ひる)-ひひらく〔ひりひり痛む〕
ひる(冲る)=ひひる(冲ひる)〔が蛾〕
ふく(吹く)=ふぶく(吹雪く)
ほく(惚く)=ほほく(惚ほく)-ほほける
やむ(病む)=ややむ(病やむ)
よむ(老む)=よよむ(老よむ)(倚よむ)
わく(分く)=わわく(わ分く)
わる(割る)=わわる(わ割る)
をる(折る)=ををる(を折る)
2018年7月29日日曜日
「丸い」ものを言うマ行縁語群
和語では”丸いもの”は、マ行渡り語「ま/み/む/め/も」、及びその相通語の「ば/び/ぶ/べ/ぼ」、さらにそれらに接頭語や前接語、接尾語がついた複合語で表される。接頭語ではカ接語、タ接語が多い。出現時期はさまざまのはずで、いずれできるだけ順序づけたい。下記はそうした”丸いもの”一覧表の作成をこころみたものであるが、勿論取りこぼしや誤りが少なくなく、整理の仕方も定まらない幼稚なものである。これをもとに遠からず完成形に近づけたいものと思っている。
ま(丸)-まく(巻く)-まかす(巻かす)-まかせる「シ接:しまく(繞く)」
-まかる(巻かる)-まかれる
-まぐ(曲ぐ)-まがる(曲がる)
-まげる(曲げる)
-まず(混ず)-まざる(混ざる)
-まぜる(混ぜる)
-まふ(舞ふ)-まはす(回はす)-まはさる-まはされる「まひ舞/回」
-まはる(回はる)
-まる(丸る)-まるむ(丸るむ)-まるまる「まる丸」
-まるめる
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ま目
タ接:たま玉~ア接「あたま頭」~たましひ魂?、くるま車、たまご卵、まめ豆、まり碗
ば
タ接:たば束~たばぬ(束ぬ)-たばねる〔玉にする〕
----------
み(廻)-みる(廻る)「いそみ磯廻、うらみ浦廻、くにみ国廻、くまみ隈廻、さとみ里廻、やまみ山廻;うちみる打廻、こぎみる漕廻、ゆきみる行廻」
タ接:たみ(た+み/び廻)~「たび旅」
び(廻)-「いそび磯廻、かはび川廻、やまび山廻、wuねび畝傍、をかび岡廻、かむなび神備」
----------
む(群)-むる(群る)-むれる(群れる〔「丸くなる」が原意か〕)
つむ/つぶ粒、おつむ頭、むら村、むれ群、
タ接:たむ(た+む廻)「かきたむ掻廻、こぎたむ漕廻」、イ接:いたむ
ぶ( )-かぶ(株、頭、蕪、鏑)、こぶ瘤/たんこぶ、つぶ粒/つぶす潰/つぶる、でぶ、ぶくぶく、あぶく泡、こぶし拳、ぶた豚、しりぶた/しりむた臀、ぶつぶつ、まかぶら/まなかぶら、くぶら/こぶら腓、たぶら/たむら臀、つぶら円、ぶり鰤、かぶろ/かむろ禿、たぶろ/たむろ党*屯
タ接:たぶ/たぼ、たぶさ髻、みみたぶ耳朶、
----------
め(巡)-めぐ(巡ぐ)-めぐる(巡ぐる)-めぐらす-めぐらせる
-めぐらふ
め目
べ(巡)「かはべ川辺、はまべ浜辺、やまべ山辺、をかべ岡辺」〔「べ」の原意は「巡/廻」か〕
----------
も(廻)-もづ(**)-もどく(擬どく)
-もどす(戻どす)
-もどる(戻どる)
ぼ
タ接:たぼ髱、つぼ壺
ま(丸)-まく(巻く)-まかす(巻かす)-まかせる「シ接:しまく(繞く)」
-まかる(巻かる)-まかれる
-まぐ(曲ぐ)-まがる(曲がる)
-まげる(曲げる)
-まず(混ず)-まざる(混ざる)
-まぜる(混ぜる)
-まふ(舞ふ)-まはす(回はす)-まはさる-まはされる「まひ舞/回」
-まはる(回はる)
-まる(丸る)-まるむ(丸るむ)-まるまる「まる丸」
-まるめる
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ま目
タ接:たま玉~ア接「あたま頭」~たましひ魂?、くるま車、たまご卵、まめ豆、まり碗
ば
タ接:たば束~たばぬ(束ぬ)-たばねる〔玉にする〕
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み(廻)-みる(廻る)「いそみ磯廻、うらみ浦廻、くにみ国廻、くまみ隈廻、さとみ里廻、やまみ山廻;うちみる打廻、こぎみる漕廻、ゆきみる行廻」
タ接:たみ(た+み/び廻)~「たび旅」
び(廻)-「いそび磯廻、かはび川廻、やまび山廻、wuねび畝傍、をかび岡廻、かむなび神備」
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む(群)-むる(群る)-むれる(群れる〔「丸くなる」が原意か〕)
つむ/つぶ粒、おつむ頭、むら村、むれ群、
タ接:たむ(た+む廻)「かきたむ掻廻、こぎたむ漕廻」、イ接:いたむ
ぶ( )-かぶ(株、頭、蕪、鏑)、こぶ瘤/たんこぶ、つぶ粒/つぶす潰/つぶる、でぶ、ぶくぶく、あぶく泡、こぶし拳、ぶた豚、しりぶた/しりむた臀、ぶつぶつ、まかぶら/まなかぶら、くぶら/こぶら腓、たぶら/たむら臀、つぶら円、ぶり鰤、かぶろ/かむろ禿、たぶろ/たむろ党*屯
タ接:たぶ/たぼ、たぶさ髻、みみたぶ耳朶、
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め(巡)-めぐ(巡ぐ)-めぐる(巡ぐる)-めぐらす-めぐらせる
-めぐらふ
め目
べ(巡)「かはべ川辺、はまべ浜辺、やまべ山辺、をかべ岡辺」〔「べ」の原意は「巡/廻」か〕
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も(廻)-もづ(**)-もどく(擬どく)
-もどす(戻どす)
-もどる(戻どる)
ぼ
タ接:たぼ髱、つぼ壺
2018年7月25日水曜日
「かみ神」はカ接語「か+み(霊)」か
「私家版和語辞典」において筆者は「かみ神」を(km)縁語のひとつとして論じた。しかし大事の神が二拍語であることには違和感もあり、どこか落ち着かない。それと言うのも「かみ神」を「か+み」と分解して、「み」を「おかみ(龗)/くらおかみ(暗龗)、やまつみ(山神)、わたつみ(海神)」などの「み(霊?)」とする見方があるからである。日国「わたつみ」の語源説欄には「ミはクシビ(霊異)のビに通ず〔大言海〕」という鋭い指摘もある。「かみ」の前項の「か」は不詳であるが、単なる接頭語としても差し支えない。
ところがこれには有力な否定論があって、日国「おかみ」の項の語誌欄にも『「おかみ」のミは甲類で、「やまつみ」「わたつみ」のミと同じであり、この「み」は、霊力あるもの、神霊の意か。「神」のミが乙類であるのとは異なる。』と明快である。上代特殊仮名遣いを重視する向きにはこれで決まりであろう。神は「か+み(霊)」ではない。だが、この現象の理解に決着がつくまでは結論は留保としたい。
和語には神性や霊性を言う一拍語にもうひとつ「ち」があり、日国には次の記述がある。『神や自然の霊の意で、神秘的な力を表わす。「みづち(水霊)」「のつち(野霊)」「いかづち(雷)」「をろち(大蛇)」「やふねくくぢのみこと(屋船久久遅命)」など。「わたつみ」「やまつみ」「ほほでみ」の「み」と同じ。』(例語は旧仮名に戻してある。)ここでは「ち」と「み」の意味を無造作に「同じ」としているが、「同じ」であるわけはないので、ここは何とか見分けたいところである。方法としてはそれぞれの渡り語を見つけることが第一歩であろうが、今のところ不明である。宿題である。
ところがこれには有力な否定論があって、日国「おかみ」の項の語誌欄にも『「おかみ」のミは甲類で、「やまつみ」「わたつみ」のミと同じであり、この「み」は、霊力あるもの、神霊の意か。「神」のミが乙類であるのとは異なる。』と明快である。上代特殊仮名遣いを重視する向きにはこれで決まりであろう。神は「か+み(霊)」ではない。だが、この現象の理解に決着がつくまでは結論は留保としたい。
和語には神性や霊性を言う一拍語にもうひとつ「ち」があり、日国には次の記述がある。『神や自然の霊の意で、神秘的な力を表わす。「みづち(水霊)」「のつち(野霊)」「いかづち(雷)」「をろち(大蛇)」「やふねくくぢのみこと(屋船久久遅命)」など。「わたつみ」「やまつみ」「ほほでみ」の「み」と同じ。』(例語は旧仮名に戻してある。)ここでは「ち」と「み」の意味を無造作に「同じ」としているが、「同じ」であるわけはないので、ここは何とか見分けたいところである。方法としてはそれぞれの渡り語を見つけることが第一歩であろうが、今のところ不明である。宿題である。
2018年7月20日金曜日
「ほ」-「おほし(多)」「おほきし(大)」
いわゆる形容詞「おほし多」「おほきし大」は、共に一拍語「ほ」に接頭語「お」のついたオ接語であることを「増補版」で指摘した。そして「ほ」には「火、穂、帆、秀」などを当てている。「お(接頭語)+ほ(火、穂、帆、秀)」である。ところが「火、穂、帆」はどれも勢いよく高く立ちあがるもので、そこに共通性が感じられる。その共通性が「ひ、ほ(秀)」という抽象語であるであろう。これに従うと、「おほし」「おほきし」の本来の意味は、数量的なものではなく、「勢いがある、気高い、神々しい」あたりとしか考えられない。「おほし多」「おほきし大」とはやや距離がある。
ところで、もうひとつ「多い」ことを言う古語に「あは」がある。「あはに/さはに」(「さはに」は&-s相通語)の形で用いられる。この「あは」が「おほ」と(&-h)縁語と考えることができるのである。つまり、「あ(接頭語)+は(多)」である。ということは、「多い、大きい」ということを原意とする渡り語「は、ほ」があって、「は」は接頭語「あ」をとって「あは」となり、「ほ」は接頭語「お」をとって「おほ」となった、と考えるほかない。これはこれで理屈にかなうが、今のところ渡り語「は、ほ」の存在を突きとめることができない。これではまったく説得力に欠ける。
いずれとも決め難く、宿題とするほかない。
ちなみに、上記の「ほ(秀)」は、「かほ(顔)」の「ほ」ではないかと考えられるのである。「か(接頭語)+ほ(秀)」である。また「ほほ(頬)」は「ほほ(秀々)」となる。こう見ると「かほ(顔)」を無理なく理解できるであろう。ひとつの解釈である。
ところで、もうひとつ「多い」ことを言う古語に「あは」がある。「あはに/さはに」(「さはに」は&-s相通語)の形で用いられる。この「あは」が「おほ」と(&-h)縁語と考えることができるのである。つまり、「あ(接頭語)+は(多)」である。ということは、「多い、大きい」ということを原意とする渡り語「は、ほ」があって、「は」は接頭語「あ」をとって「あは」となり、「ほ」は接頭語「お」をとって「おほ」となった、と考えるほかない。これはこれで理屈にかなうが、今のところ渡り語「は、ほ」の存在を突きとめることができない。これではまったく説得力に欠ける。
いずれとも決め難く、宿題とするほかない。
ちなみに、上記の「ほ(秀)」は、「かほ(顔)」の「ほ」ではないかと考えられるのである。「か(接頭語)+ほ(秀)」である。また「ほほ(頬)」は「ほほ(秀々)」となる。こう見ると「かほ(顔)」を無理なく理解できるであろう。ひとつの解釈である。
2018年7月16日月曜日
「まだまだ」-「不十分」な(md)縁語群
諸辞書の教えるところによれば、「まづし貧」の本来の意味は「不十分である、足りない」ということのようである。例えば生計を営む上では、まだまだ必要十分な物資や資金を得ていないことを言っていると言う。また、完成にはほど遠い、未完成である、ということも言っている。「まだ」十分でない、「まだし」、イ接語「いまだし」である。
上記をもとに、(md)縁語と思われるものを列挙してみれば次のようになるであろう。
まだ/まだまだ、まだき、まだし、いまだ/いまだし(未だ)
まぢ貧、まぢし/まづし/まどし(貧し)、まづ(先づ)、まで(迄)
みぢかし(短し)〔必要な長さに達していない〕
むだ(無駄)
めづらし(珍し)
もどかし、もどく/もどき、もどす/もどる(戻す)
いずれも”まだ十分でない”という雰囲気である。現代語「まづし」はただ”貧窮”の意であるが、これはかなり新しい使い方と思われる。「まぢ貧」は、海彦、山彦の段に「まぢち(貧鈎)」という成句で出てくるが、おそらくそれだけで今日に伝わっている語であろう。語釈は難しい。
「みぢかし短」が浮かぶが、これは仮名使い上サ行語「みじかし」が正しいとされている。ところが「みぢかし」であれば「帯に短したすきに長し」で、帯にするにはまだ十分でないという点でぴったり合うのである。ここでは「みぢかし」をとる。
いささか無理筋のようであるが、「むだ(無駄)」がここに入るように思われる。
「めづらし」「もどかし」は、考えようによっては縁語と見ることもできそうである。「めづらし」は、当たり前、ふつう、ありきたりになるにはまだ十分でない、まだ十分でないので「もどかしい」である。
「もだす」と「もどす/もどる」は、もとはひとつか。「もだす」は、まだ十分でないのでそうなるまで待つ、放置する、「もどす」はまだ十分でないのでそうなるまでおし返す、待つ、放置する。
上記をもとに、(md)縁語と思われるものを列挙してみれば次のようになるであろう。
まだ/まだまだ、まだき、まだし、いまだ/いまだし(未だ)
まぢ貧、まぢし/まづし/まどし(貧し)、まづ(先づ)、まで(迄)
みぢかし(短し)〔必要な長さに達していない〕
むだ(無駄)
めづらし(珍し)
もどかし、もどく/もどき、もどす/もどる(戻す)
いずれも”まだ十分でない”という雰囲気である。現代語「まづし」はただ”貧窮”の意であるが、これはかなり新しい使い方と思われる。「まぢ貧」は、海彦、山彦の段に「まぢち(貧鈎)」という成句で出てくるが、おそらくそれだけで今日に伝わっている語であろう。語釈は難しい。
「みぢかし短」が浮かぶが、これは仮名使い上サ行語「みじかし」が正しいとされている。ところが「みぢかし」であれば「帯に短したすきに長し」で、帯にするにはまだ十分でないという点でぴったり合うのである。ここでは「みぢかし」をとる。
いささか無理筋のようであるが、「むだ(無駄)」がここに入るように思われる。
「めづらし」「もどかし」は、考えようによっては縁語と見ることもできそうである。「めづらし」は、当たり前、ふつう、ありきたりになるにはまだ十分でない、まだ十分でないので「もどかしい」である。
「もだす」と「もどす/もどる」は、もとはひとつか。「もだす」は、まだ十分でないのでそうなるまで待つ、放置する、「もどす」はまだ十分でないのでそうなるまでおし返す、待つ、放置する。
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